犬 心臓病

僧帽弁逆流のステージ(予防は可能なのか??)

犬の心臓病、特に弁膜症の代表例に僧帽弁逆流があります。
この病気は、高齢の小型犬に非常に多くかかりつけの獣医さんに雑音が聞こえると言われてエコー検査をして診断されることが多いです。

今回はこの僧帽弁逆流の重症度をステージ分類する考えがあるということをご紹介します。獣医師さんはこのステージ分類に基づいて投薬プランを立てて投薬していると思います。飼い主さんはこの薬も使った方がいいんじゃないの??発症前に予防できないの??と思われることもあると思いますが、その様な疑問に答えられたら幸いです。

まずステージ分類です。2019年に出された論文によりステージ分類が決まりました。

ステージA
症状はないが、好発犬種である。
好発犬種・・キャバリア、チワワ、トイプードル、ポメラニアン、ミニチュアシュナウザーなど
特にキャバリアは11歳以上で100%心雑音が聞こえると言われるほど好発

ステージB1
雑音が聞こえ、弁逆流がある。心拡大なし
心拡大はエコーにて確認します。(LA/AOという指標がある。正常値1.6未満)

ステージB2
雑音が聞こえ、弁逆流がある。心拡大あり(LA/AO>1.6以上)

ステージC
雑音が聞こえ、心不全になっているもしくは過去に心不全になったことがある。
心不全とは・・臓器の灌流不全をきたし、それに基づく症状が出現した状況
僧帽弁逆流の場合→肺水腫(呼吸が苦しそうになる)

ステージD
難治性の心不全を起こしている。
内科的な治療では効果が認められない。

この中で治療対象になるのはステージB2つまり心拡大が認められた時からです。
もっと早くから治療または予防できないの?と思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、薬には副作用があります。
治療
ステージB2 ACE阻害剤のみ 全身の血管を拡張させ心臓にかかる負担を減らす。副作用 低血圧、ショック

ステージC ACE阻害剤
      ピモベンダン(商標:ベトメディン、ピモべハートなど)
      利尿薬(フロセミド、トラセミド、スピロノラクタン)

ピモベンダンは強心薬と呼ばれ心臓の活動を補助します。
利尿薬は肺水腫になっているので肺から水を抜くために使用します。

副作用としてピモベンダンは頻脈、嘔吐などがあります。
利尿薬の副作用についてですが、ここが重要で尿を強制的に出させるので腎臓に負担をかけてしまいます。
もしかしたら、かかりつけの獣医師さんが利尿薬を使ってくれないという時は腎臓の数値が悪いからかもしれません。

ステージD ステージCと同様の投薬
内科治療の効果が認められない。治療法はないというしかありません、、。

この病気を予防できないのか、雑音が聞こえるけど薬をあげなくてもいいのかという疑問についての答えを述べると獣医師さんは上記の様なしっかりとしたエビデンス(証拠)に基づいて診療しています。そのためステージB1以下の子には投薬は必要ないと考えているのでしょう。
それでも心配だという方は、自己責任での投薬をお願いします。(副作用があることをお忘れなく。。)
僧帽弁逆流は加齢性の変化によることが多く(若齢の子もたまにいますが)、早期発見して治療することで進行を遅らすことができます。聴診で雑音を聞くだけでも異常を察知できる獣医師さんが多いでしょう。そのため定期的に病院を訪れ聴診してもらうことをお勧めします。