クッシング症候群でALPが上昇する原因は??

今回は、犬の病気でよくみる副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)についてのお話です。

クッシング症候群は、水をいっぱい飲んで、おしっこをいっぱいする。いっぱい食べる。そして太ってきた。毛が薄くなった。という症状が見られる病気です。

飼い主さんは老犬だから毛が薄くなるのは仕方ないと思っていたら、この病気だったということもあります。

基本的には、死に至るような病気ではないのですが、他の病気を引き起こす原因にもなったりします。
例えば、肝臓にある胆嚢という臓器の中に泥状のものが溜まりやすくなり、その結果胆嚢の中にある胆汁が出にくくなり固まってしまう胆嚢粘液嚢腫という病気が挙げられます。
また、一番重篤で命に関わるのが手術中や手術後に血の塊である血栓が血管に詰まる血栓症です。人では血栓が脳に詰まって脳梗塞、心臓の血管に詰まって心筋梗塞を引き起こしますが、犬の場合は肺の血管に詰まることが多いです。肺の血管に詰まると体の中にうまく酸素が取り込めない状態になり、息苦しさの中死を迎えるような悲惨な最期になることもあります。

こうした、他の病気を引き起こす可能性を持つ疾患のためしっかりと治療をする必要があります。

長い前置きはここまでにして、本題に入っていきますww

クッシング症候群のワンちゃんを飼っている方は血液検査を動物病院に行くたびホルモンの量を計測するため血液検査をすると思います。

クッシング症候群の血液検査上の特徴として副腎から出るコルチゾールというホルモンの放出量が増えるためコルチゾールが上昇します。
また、肝臓の数値として見られるALPも上昇することが知られています。

ここで「副腎の病気なのになんで肝臓の数値が上がるの??」と思う人がいると思います。

今回の記事はなんでこの疑問に対する答えを記載していきたいと思います。

結論

ALPが上がるのはステロイド誘導性ALPがクッシング症候群になると上昇するからです。

これについて説明していきます⬇︎

ALPとは一体なんなの??

獣医師の先生からはALPは肝臓の数値と言われることが多いと思います。飼い主さんは飼い主さんは肝臓が悪くなるとALPも上昇すると思っていると思います。

これは、正解です。しかし、70点ぐらいの答えだと思います。ALPはもっと奥が深いものです。

ALPとは、肝臓の酵素の一種で、肝酵素と呼ばれます。肝酵素には、他にもGPT(ALT)とGOT(AST)などがあります。

GPT、GOTは逸脱酵素と言われ、肝臓の細胞が壊されると放出される酵素なので肝臓の障害の程度がわかります。

それに対して、本題のALPは、誘導酵素と呼ばれています。ALP誘導因子というものが「ALPを放出しろー」と言って指示するから出てくるようなものです。

肝臓で胆汁の排泄障害があるときにALP誘導因子が増加し、ALPが上昇すると言われています。
「肝臓が悪くなると胆汁の排泄障害が起こりそうだから、ALPも上昇するよね。」

しかし、ALPは肝臓だけのものではなかったのです。

ALPにはいくつかのタイプがある

ALPは肝臓にあるものだけではないのです。ALPにはいくつかのタイプがありこのタイプを専門的にはアイソザイムと読んでいます。

ALPは肝臓以外にも、肝臓、胆嚢、骨、消化管、胎盤、腎臓、肺など身体中の様々なところにあります。

この中で肝臓にあるALPが一番多いのですが、若いワンちゃん猫ちゃんでは骨が発達している過程なので骨にあるALPが増え血液検査ではALPが高い値を示すことがあります。

若いワンちゃん猫ちゃんでALPが高い値が出ても不安にならないでくださいね。まぁきちんと獣医さんが説明してくれると思います。

また、この他ステロイド誘導性ALPというものもあります。このステロイド誘導性ALPがクッシング症候群でのALP上昇でのキーワードになってきます。

ステロイド誘導性ALPとは??

ステロイド誘導性ALPとは、簡単にいうとステロイドと呼ばれる成分に反応してALPが上昇するということです。

ステロイドはよく動物病院で使われる薬でこの薬を飲んでいる子はALPの値が高くなります。ステロイドの量を減らすとALPが減少することがほとんどです。

このステロイドは体の中でも同じ成分が作られます。その生産場所が副腎です。

クッシング症候群は副腎が勝手に頑張っちゃってホルモンをバンバン出していく病気でステロイドと同じ成分も副腎で作られ、バンバン放出されます。

その結果、体内で過剰になったステロイドに誘導されALPが高い値を示すようになっていきます。これがクッシング症候群でALPが上昇するカラクリです。

まとめ

まとめると、クッシング症候群になるとステロイドが体内で過剰に作られ、ステロイドに誘導されてALPが上昇します。

僕も、昔はクッシングで肝腫大が起こって肝臓の機能が落ちた結果ALPが上がるものだと間違って認識していました。肝臓の機能が落ちたのなら他のGOT,GPTなどの肝酵素も上昇しなきゃおかしいですよね。

獣医学に興味がないと今回の話はむずかしいと思います。獣医さんも伝わりにくさを考慮して説明しないこともあると思います。しかし、飼い主さんも自分の子を守るためには情報を仕入れていくことが重要です。

今回の記事がそういった飼い主さんの助けになればと思います。